調べ物をしていたら、「下から上ると40段、上から下ると39段になり、段数が異なるこ階段がある。」と紹介しているものがあったので、真相を確かめるべく、改めて取材することにした。(取材と言ってもただ上り下りして数を数えてみるだけだが・・・。)
その怪談、いや違う、階段は、今までも何回か上り下りしたことがあるのだが、坂に設置されている説明板などがなかったので、名前が付いているとは知らなかった。
地図にも載っているので、有名な階段だった。
文京区弥生2丁目18番と19番の間を、やや曲がりながら西に上る階段。
文京区のホームページにも掲載されていた。
https://www.city.bunkyo.lg.jp/bunka/kanko/kanko/location/places/obakekaidan.html
ということで、文京区公認となっているようだ。
英語表記が「Obake Kaidan」と「Obake Kaidan Stairs」の2種類があった。
お化けは英語で「ghost」だが、「ghost」 は厳密に言うと「幽霊」となるらしく、「goblin」のほうがふさわしいようだ。
さらに調べてみるとspook、specter、wraith、monsterなどがあるようで、日本語以上にいろいろあった。
一番下から見たところ
左側は古い階段部分がそのまま残されているため、変わった形の階段となっている。
かつては幅が狭く、薄暗い道だったが、2005年頃住宅の建設をきっかけに階段左側を拡張し、さらに2009年頃、手すりから右側部分を拡張してもとの3倍の広さになり、手すりもついて、きれいな階段に整備された。
右側の階段
踊り場まで33段
左側の階段
25段
整備されたのだろうけれど、これが一番最初にあった階段だ。
一番上の先が塀になっていて途切れているが、以前は右に曲がっていたのかな?
途中から踊り場まで
踊り場から一番上まで
7段
上から見たところ
途中左に曲がる。
踊り場から下を見る。
お化け階段の正体
1段目にあたる、高さがあまりない段差に注目!
よく見ると1.5センチくらいの高さがある。上る時はそれをカウントする(40段)けど下る時はカウントしない(39段)で下りきってしまうため、段数が異なるというわけだ。
これが一般的であるが、
拡張前の階段の時だろうが、途中“く”の字に曲がるところの踏み石が浅く小さい石だったため、上りと下りの数が違うことになる。いう説。
一番左の階段と右の階段の高さと幅が違うため、これで左側通行か右側通行で別の階段を上下したら、歩数が違うことになる。という説。
もあった。
この階段について調べていたところ、いろいろなことが書かれていた。
〇名前の由来は「階段の上りと下りで数が違う」が良く知られているが、「お坊さんが何段目かで死んだ」「階段脇の庭におばけがでた」「階段の石が墓石である」と諸説あるそうだ。
〇階段の電柱に
弥生町名所
「お化け階段」
下から40段
上からn段
諸説あり
山手の終点地
と木札が掲げられていた時期もあるそうだ。
見たかったなぁ。
〇2004年7月頃の記事に
お知らせ
「おばけ階段をご利用の皆様へ」
「クレアセトル文京根津」のマンション工事で階段横に擁壁を作る工事を施工中です。文京区建築指導課と協議をしながら工事を行って・・・最終仕上げまで少々時間がかかります。
というのがあった。
「おばけ階段をご利用の皆様へ」と書かれているのが、いとおかし。
〇2021年10月7日付の日本経済新聞に「文化漂う街の「お化け階段」 東京・文京」という記事で紹介されていた。
マニアの方には有名だと思われる松本泰生著「東京の階段」にも紹介されている。
そのデータによると段数は39段、幅1.7~3.1m、高低差約5m、長さ14m、蹴上13cm、踏み面36cm、傾斜20度となっていた。
現在は40段だが、当時は39段だったのだろうか?
掲載されている拡張工事前の写真を見ると、一番左側の階段しかなく、狭くて、藪と塀に挟まれ、上には高い木がそびえていて、いかにも「出そう」といううす暗い感じの昔ながらの階段だったようだ。
今は、広く、綺麗になって「お化け」の雰囲気がなくなってしまったが、階段の途中で折れ曲がった先が見通せなくなったり、階段の一部が上り途中で行き止まりになっていたりと、独特のミステリアスな雰囲気が今も漂っている。