川口市にある小字の痕跡を探しながら行くのだが、旧町名の表札は見つからず。
行く間に川が何本か流れているので、対岸へ行く橋を探さなければならない。
橋が見つからない。
こんなことなら最初見かけた橋を渡っておけばよかったと思ったが、後の祭り。
結果的に遠回りをしてしまい、ようやく「釣上新田」にたどり着くことができた。
何故ここを訪問することにしたかというと、「釣上新田」の「釣」という字が方言漢字だったからからである。
今まで埼玉県の方言漢字をいくつか紹介してきたが、地元さいたま市にもあったのだ。
「釣」は「つり」と読んでしまいそうだが、「かぎ」と読む。
従って、「釣上新田」は「かぎあげしんでん」と読む。
由来
この地を流れる綾瀬川の曲がった形からと伝えられている。
かつては「鈎上」などと書かれていたが、帳簿などに記載する際に「釣上」となり、読みがそのままになったと考えられている。
歴史
もとは江戸期より存在した武蔵国埼玉郡岩槻領に属する釣上村、および釣上新田であった。
1889年(明治22年)4月1日
町村制施行に平行して尾ヶ崎村、釣上村、野島方村、孫十郎村、高曽根村、末田村、尾ヶ崎新田、釣上新田の6箇村2新田が合併し、南埼玉郡新和村が成立。新和村の大字釣上および釣上新田となる。
1950年(昭和25年)
大字釣上の一部を荻島村に編入。
1954年(昭和29年)5月3日
新和村が岩槻町、川通村、和土村、柏崎村、河合村、慈恩寺村と合併し、南埼玉郡岩槻町が成立。岩槻町の大字となる。
1954年(昭和29年)7月1日
岩槻町が市制施行し岩槻市となる。岩槻市の大字となる。
2005年(平成17年)4月1日
岩槻市がさいたま市と合併し、さいたま市岩槻区の大字となる。
2017年(平成29年)2月18日
釣上の一部が地名変更により美園東となる。
残念ながらこれは現存している町名。
字名が載っている表札でもあれば撮るのだが、見つけられたものは岩槻市時代のものくらいで、字名はないので、撮らなかった。
さて、ここからは「釣上新田」が付いているものを収集していくことにしよう。
釣上新田南自治会集会所
色違いの防犯パトロール実施中
ここは調整区域のため新築住宅が建てられないらしい。
見上げると電柱番号札には「南釣上」と書かれていた。
釣上新田にはふたつの自治会があるようだ。
釣上新田自治会集会所
防災倉庫
釣上新田交差点
岩槻区釣上新田と書かれているはずだが、はがされていて読めない。
住所が書かれているもの。
歩いていると、少し離れた所に石柱が見えた。
このようなものを見かけると引き寄せられるように自然と足が向かってしまう。
「釣上新田」と刻まれていた。
両側面を見たが、何も彫られていないようだった。
裏面は垣根があるため確認できず。
ネットで調べてみたが、これに関する資料は見つからなかった。
次は「釣上編」をお届けすることにしよう。
メインは「釣上」だと思うが、先に「釣上新田」を発見したので、このような順序になっている。