今回は江戸川区平井で発見したたばこ販売店の琺瑯看板を紹介することにしよう。
一応旧町名でもある。
発見日 2022年10月8日
発見場所 東京都江戸川区平井三丁目
①東京都江戸川区平井町三丁目一〇六五番地
②江戸川区平井3の1064
歴史
1889年(明治22年)
市制・町村制が施行され、東京市(15区からなる)が成立。
上平井村、中平井村、下平井村より平井村となる。
1914年(大正3年)
荒川放水路の開削に伴い、村の区域が再編された。すなわち、荒川放水路によって分断された平井村、小松川村、船堀村が廃止され、これら3村の区域の一部は新設の小松川町となり、残余は松江村と奥戸村(現葛飾区のうち)に編入された。旧平井村は荒川放水路以西が小松川町となり、以東は奥戸村のうちとなった。旧小松川村と旧船堀村は荒川放水路以西が小松川町となり、以東は松江村のうちとなった。
新旧町村の編入関係は以下のとおりである。
小松川町
旧小松川村のうち逆井(全)、西小松川(一部)、東小松川
旧平井村のうち中平井(一部)、下平井
旧船堀村のうち西船堀(一部)、西小松川、東小松川(一部)
松江村に編入
旧船堀村のうち西船堀(一部)、東船堀(全)、西一之江(全)、東小松川(一部)
旧小松川村のうち西小松川(一部)
奥戸村に編入
旧平井村のうち上平井(全)、中平井(一部)、下平井(全)
1932年(昭和7年)10月
南葛飾郡全域が東京市に編入された。
小松川町大字下平井より平井1~4丁目が成立。
1972年
住居表示実施。
①のたばこ販売店の看板は「平井町三丁目」となっているが、おかしい。
上記の歴史を見る限り、「平井町」は存在していない。
従って「平井三丁目」が正しいと思われる。
地名の由来
金子勤『東京23区の地名の由来』(幻冬舎 2016年)
応永5年(1398年)、『平江』と見える。室町戦国時代(1467年~)には平井となる。由来は入江であったから。
『江戸川区史 通史編』(第1巻)
『葛西御厨注文』(1395年)という文献の中で、「下平井」という村が記載されていることが説明されている。
「下平江 平江は後に平井になった。入江であり、飲料水のくみ場であった。上平井と下平井の両村であったが後世中平井村が分村している。」とある。
「子ども葛飾区史」「かつてあった地名の由来」
「上平井 1966(昭和41)年までは、『平井中町』という地名がありました。現在の新小岩・西新小岩の一部にあたります。また、1968(昭和43)年までは『上平井町』という地名がありました。現在の東新小岩・西新小岩・奥戸の一部にあたります。もともとは、『上平江』という地名で、約620年前の室町時代の資料に出てくる古い地名です。『平江』という名前は、この辺りが、入江のような地形だったことからつけられたといわれています。その後、約460年前の戦国時代に『上平井』に変わりました。」
ここで記載されている室町時代の資料は『葛西御厨注文』のことのようだ。
このようにこの「平井」という地名は約620年前から存在する地名だが、「上」や「下」が付かない「平井」という地名は、1932年(昭和7年)10月に市郡合併により南葛飾郡が廃止されて江戸川区が誕生したのと同時に区域の整理や町名の変更が行われた際に新町名として「平井」という名称が生まれたものだ。