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浦和駅開業140周年記念イベント ~ 伊勢丹浦和店編 ④ ~

今回で「開業140周年 浦和駅と列車の歴史」は最終回、⑮~⑱までを紹介することにしよう。

開業140周年 浦和駅と列車の歴史⑮
浦和駅に特急が停車!

1985(昭和60)年、東北、上越新幹線の上野~大宮間開業に伴い、同区間の在来線で運転されていた「新幹線リレー号」が運転を終了します。リレー号に使用されていた185系電車を使用した特急「新特急谷川」「新特急草津」「新特急なすの」が運転を開始しましたが、このうち6往復が浦和に停車することになり、ついに浦和は「特急停車駅」になります。翌1986(同61)年からはすべての新特急が停車し、利便性が向上しました。

(上)1985(昭和60)年3月の浦和駅西口。駅舎には 新特急浦和駅(6往復)停車」という横断幕が掲げられています。また奥には商店が密集し非常に狭あいな東口の様子も写っています


1985(昭和60)年3月14日のダイヤ改正で新特急停車を記念し、ホームにも横断幕が掲げられ盛大なテープカットも行われました(左)。上りの特急「新特急なすの」の初停車(右)

 

開業140周年 浦和駅と列車の歴史⑯
浦和駅高架化工事着工

1968(昭和43)年に三複線化されたものの、駅周辺に多くの商業施設や住宅が密集していた浦和駅は、1981(昭和56)年に西口広場が拡張され、大規模商業誌施設が開業するなど変化する中、駅は大きな変化がないまま国鉄の分割民営化を迎えました。東口駅舎は1930(昭和5)年に建設されて以降改装をしたのみで狭あいなまま、また駅構内の地下道も狭く、何より街の東西を行き来しにくいという問題を抱えていました。1999(平成11)年、埼玉県を事業主体とし、線路の高架化を含む都市計画決定がなされ、用地確保などを経て、2003(同15)年、街の東西を分断していた浦和駅のすべての線路を高架化する工事が始まります。


2003(平成15)年頃の浦和駅東口


高架化工事が始まる前の再開発で空き地が目立っています


2003年頃の駅西口。タワーマンションが完成し風景が変わりつつある頃。現在では西口周辺の再開発がさらに進行しています

 

開業140周年 浦和駅と列車の歴史⑰
変わりゆく浦和駅

浦和駅の高架化工事は、周辺に建物が密集る中で進める必要があることから、駅の東側に用地を確保し、1線分の高架橋を建設し線路を移設、移設した空地に高架橋を建設し移設、という工事を繰り返す形ですすめられました。1番線が高架ホームに切り替えられたのは着工から4年が経過した2007年のこと。その後1線ずつ高架線への切り替えが進められました。合わせて浦和を通過していた湘南新宿ラインが停車できるよう、貨物線にもホームを追加することが市の要請により決定します。4番線までの高架化が完了した2011(平成23)年に東西連絡仮通路の使用を開始。工事の間は東口には仮設の駅舎が設けられていましたが、この仮通路使用開始で東西の改札口が統合されました。


2010年に撮影された浦和駅西口。この翌年から解体が始まりました。

(上)2010年頃の東口の仮設きっぷ売り場

(左) 2010年12月、西口駅舎屋上から工事中の4番線ホームを撮影した写真

(右)2011年、高架に切り替え直前の4番線ホーム。切り替え直前はホームが非常に狭かったことがわかります

2010年の地下通路。奥が西口で、すでに京浜東北線は高架ホームに切り替えられています。 高さも低く、多くのお客さまが利用するには手狭になっていました。

(右)2013年の西口。かつての駅舎は解体され、改札口は高架下に移されました

(左)2010年頃の東口仮設駅舎。現在親しまれているガラス張りの高架線が姿を見せています

 

開業140周年 浦和駅と列車の歴史⑱
高架化工事完成、より便利な駅へ

高架化工事と並行して東口には2007(平成19)年に浦和パルコや公共施設コムナーレが入る複合施設「ストリームビル」が完成し、駅前広場や周辺道路の整備も行われ、風景が一変しました。 ホームがなかった貨物線にもホームが新設されることになり、その工事も2013(平成25)年に完成。 6番線は元の高架橋を活用して工事が進められたことから、他のホームよりも1段高い位置にできました。この完成で湘南新宿ラインの列車もすべて停車するようになり、さらに東武鉄道直通の「日光」「きぬがわ」「スペーシアきぬがわ」も全列車が停車。一気に利便性が向上しました。
そして2015(同27)年には高架下にアトレ浦和North AreaとSouth Areaがオープン、 2018(同30)年には、西口駅舎の跡地にアトレ浦和West Areaが完成し、より便利で快適な駅になりました。

2012(平成24)年の浦和駅東口駅前広場の整備が進められています

2018(平成30)年3月、アトレ浦和West Areaオープンのテープカット


開業140周年、 列車は1日804本停車!
現在では浦和駅を通過する定期旅客列車は朝の特急「あかぎ」1本のみとなり、ほかの列車はすべて浦和駅に停車しています。
140年前の開業時、1日4本だった列車は、現在1日804本(2023(令和5)年現在、平日の運転本数。 京浜東北線352本、上野東京ライン宇都宮線高崎線】314本、湘南新宿ライン138本)にまで増えました。
時代によって、列車の加減速性能の制約により列車本数が確保できない、貨物線にホームがないなど、さまざまな事情はあったにせよ、1932(昭和7)年から2013(平成25)年までの81年間、ほぼ続いた「普通列車が通過する駅」だった浦和駅は、地域のみなさまのご利用に支えられ、県都の駅としてふさわしい、「ほぼすべての列車が停車する駅」に成長しました。今後もこれまで以上のご利用をお願いいたします。

・資料、写真は資料ごとに記載したが、記載のないものは浦和駅所蔵である。
・本展の企画、立案、調査、編集には浦和東営業センター○○○が担当し、○○○ ○○がこれに協力した。
・展示に使用した資料については、著作等の配慮をしましたが、お気づきの点がありましたらご教示ください。
【主要参考文献・順不同】
日本国有鉄道百年史 日本国有鉄道 1971年
駅史 浦和駅 1967年
駅概況 浦和駅 1988年
新日本鉄道史 川上 幸義 1968年
浦和駅のあゆみ 東日本旅客鉄道株式会社大宮支社事業部 2015年
東北・常磐線120年のあゆみ 三宅俊彦 2004年
明治の私鉄と産業発展 東日本鉄道文化財団 2006年
OHIMIYA HISTORY 鉄道博物館 2015
JTBパブリッシング キャンブックス 京浜東北線100年の軌跡 三好好三 2015年
JTBパブリッシング キャンブックス 103系物語 毛呂信昭 2012年
JTBパブリッシング キャンブックス 115系物語 福原俊一 2014年