歩・探・見・感

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煙草小賣所 東京市品川區南品川

 2021年10月26日探索記録の記事で「たばこ小売店」の琺瑯看板を紹介したが、過去に撮影した写真のフォルダを探していたところ、「東京市品川區南品川」時代の「煙草小賣所」の琺瑯看板があったので、紹介しよう。

発見日  2020年2月10日

発見場所 東京都品川区南品川5丁目

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下記を再掲する。
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三重県総合博物館に所蔵されている看板(煙草小売所標札)について以下のような記載があった。

「煙草小売所」の標札(ホウロウ製)は、この煙草の専売制が始まった後、大蔵省の専売局からの通達により作られたものです。つまり煙草の小売を認められている店であることを示す看板というわけです。ただし、当時全国に17~18万人いたといわれている煙草小売人が同一の看板を所持していたわけではありません。白木の板に墨書きのものもあれば、真っ赤な地に白抜きの文字を施したホウロウ製のものもあり、材質、色、形は少しずつ異なりますが、共通するのは標札の中央に「煙草小売所」を、その左脇に「煙草小売人」の文字を配する点です。恐らく専売局の製造所や組合などの単位でまとめて作られていたものと考えられます。看板中央の上下2ヶ所に直径0.8㎝の穴があけられ、また外側に向けて少し丸みを持たせていますので、店先の柱などにとめられていたものと思われます。

 昭和24(1949)年、専売局を引き継ぎ日本専売公社が立ち上がりますが、同年施行の「たばこ専売法」に看板の設置に関する記載はありません。専売局の廃止とともにこの看板の歴史も幕を閉じることになりました。
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ということなので、この「東京市品川區南品川」時代の「煙草小賣所」の琺瑯看板は少なくとも、昭和24年(1949年)以前のものであることは確かだ。

沿革は以下の通りとなっている。
明治22年(1889年)
品川町は、南品川宿、南品川猟師町、利田新地(かがたしんち)、二日五日市村(ふつかいつかいちむら)、北品川宿、品川歩行新宿(しながわかちしんしゅく)の6町村が合併して成立した。

昭和7年(1932年)
東京市は周辺の5郡(荏原、北豊島、豊多摩、南足立、南葛飾)に属する82町村を編入し、いわゆる大東京市が成立した。編入された82町村は20区に編成され、東京市は既存の15区と合わせ、35区から構成されることとなった。品川区の前身である旧品川区と荏原区はこの時に成立したもので、品川町、大井町(旧大井村)、大崎町(旧大崎村)の区域が品川区、荏原町(旧平塚村)の区域が荏原区となった。
品川町大字南品川宿から南品川1〜6、西品川2〜4が成立する。

昭和18年(1943年)7月1日
東京府東京市が廃止されて、新たに東京都が設置された。この時、品川区、荏原区を含む35区は東京都直轄の区となった。

昭和22年(1947年)3月15日
品川区、荏原区が合併して新しい品川区となった。

東京市が廃止されたのが、昭和18年(1943年)ということなので、更に遡ることになり、戦前から存在していたことになる。

今まで見た中では、戦前から存在していると思われる煙草小賣所の琺瑯看板はこの1枚だけだが、他にもあるかもしれない。

 

2021年11月2日追記
ネットで旧町名について調べていたところ、この記事と同じ煙草小賣所の写真が掲載されていたので、驚いた。自分の記事だと思ったが、違っていた。

昨日この記事を投稿したが、別な方もほぼ同タイミングと思われる昨日に同じ煙草小賣所の記事を投稿されている方がいた。
シンクロだろうか?
それによると、住所は一度消して書き直した形跡があり、「府下(?)荏原郡品川町南品川(宿?)」と書いてあるのが読み取れたそうだ。
自分の写真を拡大してみたが、何か消されているのは分かったが文字までは読み取れなかった。
荏原郡品川町時代ということになると昭和7年(1932年)以前に製作されたことになる。
今度訪問する機会があったら、もう少し大きめの写真を撮らせていただき、自分の目で確認したいが、老眼の目では厳しいかもしれない・・・。

それにしてもよく気が付かれたなと感心することしきりである。自分では、絶対気が付かないだろう。

 

2021年12月1日追記

住所だけ拡大して正面、少し右から、少し左から、それぞれ撮影したが、消された文字はよくわからず。(撮影日2021年11月25日)

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更に上から3分割して撮影した。何か文字が書かれているようだが、読めない。
(撮影日2021年11月27日)

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このお知らせにあるように平成10年7月から用地取得が進んでおり、この煙草小賣所の琺瑯看板が設置されている建物の両側は既に用地取得済になっている。
もう用地取得が開始されてから、20年以上経過している。
上部がユニークな模様のこの古民家もいずれ解体されてしまう可能性が高い。
産業廃棄物になる前に、品川区には、是非この煙草小賣所の琺瑯看板を保存してほしい。

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