浄名院の山門に金属プレートが見えたので、立ち寄ってみたら、街歩きツアーのような団体が入ってきた。
街歩きツアーのガイドが「水準点」と言うのが聞こえ、それについて説明していたようなので、一緒に聞いていようかと思ったが、部外者が勝手に聞くのもどうかと思い、近くにあるはずの「上野桜木町」の電力プレートを探しに行く。「上野桜木町」の電力プレートは無事発見できたので、浄名院に戻り、その「水準点」とやらを見に行った。
発見日 2021年10月23日
発見場所 東京都台東区上野桜木2丁目
その水準点とはこれである。
2段重ねの石の上に、「不」に似た文字があることが分かる。
三角点と言うのは聞いたことがあるが、このようなものは初めて見たと思う。
これは真上から見たものである。
これが水準点というものなのか?
家に帰ってから調べてみると、これは「几号(きごう)水準点」というのだそうだ。
また、「几号高低標」ともいうらしい。
2022年2月3日訂正
角田澄彦様よりご指摘があり、浄名院のものは几号水準点ではなく、東京市が設置した水準基標というものだということがわかった。
今年になって、1919年(大正8年)に東京市役所土木課発行「水準基標一覧表」に記載された位置と一致することが、浅野勝宣氏により確認され、几号標石が東京市によって設置されたことが判明したようだ。
東京都内で現存している几号標石は十数個あるようだ。
また、この浄名院の水準基標は消滅の危機があった。
自分が訪問した時も、すでに山門と塀はなくなっており、几号標石だけが残されていた。
角田澄彦様が2022年1月27日に浄名院を訪問した際、ご住職は「(標石を)撤去しようか迷っていた」と言っていたそうだ。そこで、角田様はご住職に標石の説明をして、保存するようにお願いしてきたそうだ。
これは几号水準点ではなかったが、「几号」について触れておくことにしよう。
「几号」の「几」の字なんか見たこともない。
訓読みだと、つくえ おしまずきと読むらしい。
物を載せたり、ひじや腰を掛けたりする足つきの台のことを意味するとのこと。
よく見ると「机」の右側の文字だ!
漢字の勉強になった。
「東京坂道ゆるラン」さんのサイトに説明があったので、一部引用させていただく。
几号(きごう)水準点とは明治初期(明治初年からとも、明治7年、明治9年からとも)に高低測量を行うために設けた基準となる測量点です。 イギリス式の測量法に従って漢字の「不」に似た記号を不朽物(恒久的に残るであろうもの)に刻印したり、「不」を彫った標石を埋めて水準点としました。
不朽物に刻むというところにも意味があります。几号水準点は、石垣や門、神社仏閣の鳥居、灯篭、狛犬などの石造物、恒久的に残るであろうと思われるものに直接、刻まれました。
東京23区内にも江戸城天守台、江戸城の数々の門、愛宕山、靖国神社、湯島天神、市谷亀岡八幡、神楽坂毘沙門天、日比谷公園、ニコライ堂、赤坂見附等40ヵ所以上存在しているようだ。
都内でも元は166ヵ所の設置が推定されているそうだが、それが約40まで減少しているということは、今後開発等でさらに消滅する可能性がある。
今後こちらのサイト等を参考にさせていただき、新たな探索対象の一つにしようと思っている。