歩・探・見・感

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ノスタルジック、レトロ、ディープそしてマイナーな世界へようこそ

さいたま市桜区プラザウエストにいる埴輪たち 

探索途中にトイレに寄りたくなった。

年を取るとトイレが近くなる。

だから、トイレの場所を把握しておくことは大切なのだ。

公園、スーパー、図書館など。

若い人にはわからないだろう。

この大変さが。

老眼もそうだが、年を取ったなと感じる時のひとつだ。

 

そんな訳で、さいたま市桜区のプラザウエストに初めて入った。(2022年12月19日)

さいたま市民なのだが入るのは初めてだった。

 

多くの人が椅子に座っているので、何か行われるのかと思っていたが、先に用をすますことが一番だ。

すっきりしたところで確認した。

「こもれびクインテット」という女性5人組のコンサートが開催されていたのだった。

演奏をしていたが、先を急いでいたので、ちらっと見ただけで、それより、こちらの埴輪たちが気になってしまった。

 

ほぼ素人であるが埴輪や土偶にも興味がある。

 

説明板がある。

さいたまトリエンナーレ2016 で公開された川埜龍三のプロジェクト<犀の角がもう少し長ければ歴史は変わっていただろう>は、現在われわれが存在している世界 「さいたまA」と同時に存在する並行世界 「さいたまB」で発見された埴輪群および発掘現場を創作し、視覚化する歴史改変SF美術作品です。

川埜龍三 | Ryuzo KAWANO | 1976-
独学で美術制作を学び、ジャンルや素材に囚われない多様な 作品スタイルと優れた造形力を持っている。プロジェクト作品として特定の地域の歴史を掘り起こし、象徴的な造形作品と市民 を巻き込む制作プロセスで、その土地に眠る伝説を可視化する手法をとっている。

 

ふ~ん、そうなんだ。

 

犀形埴輪(復元)

高 167cm×横115cm×奥行313cm | 監修:埴輪研究家 川埜龍三

別所沼古墳から発掘された6世紀ごろの埴輪の「破片のいくつかを調査した結果、特徴的な角などの部位と装飾品の玉などから、「さいたまB」の名称由来が動物のサイであることが判明しました。新たに発見された 「犀(さい) 形埴輪」の存在については何の目的で作られたのかなど、さいたまBの研究者の間で激しい議論が繰り返されました。 実寸大で復元された飾り犀は、当時の武蔵国の豊かな社会をうかがい知ることが出来る貴重な資料といえます。

 

え~すごい。

 

犀引き埴輪

さいたま見沼区 見沼田んぼ出土 | 高65cm×横45cm×奥行25cm 

さいたまBの埴輪のなかでも最も高い人気を誇る 「犀引き」は、偶然の発見により出土しました。左手を上げて踊るような姿から、当初は踊る埴輪と呼ばれました。このように様式化された造形は他に類がありませんでしたが、 別所沼古墳の通称 「犀引かない埴輪」の出土や、近年本格的に進んでいる別所沼古墳の発掘調査により、これらは農夫であり犀を引いている者たちを埴輪化したものだとするのが定説となっています。

 

へぇ~、この頃、犀は家畜だったんだ。

 

犀引かない埴輪

さいたま南区別所沼古墳出土 高さ62cm×横22cm×奥行31cm 

美豆良(みずら)をつけた男性を表した埴輪は、 見沼田んぼでの「犀引き」 の出土と、 別所沼古墳の調査から通称「犀引かない」の愛称で親しまれています。 殯(もがり)などの葬送の場に参列し、歌舞する人物の姿を写したものとも考えられます。 伸ばした両手には、さらに小さな自分自身を持つという、当時の優れた埴輪師のフラクタル表現が確認できます。

 

犀を引くから「犀引き」、犀を引かないから「犀引かない」って、愛称とはいえ変なの。

 

実は現地では本物だと思っていた。

家に帰って、この記事を書いていて、説明文の文章を書き起こしているときまでは本当に本物だと思っていた。

 

当然調べたくなった。

 

別所沼古墳?

別所沼に古墳なんかあったっけ?

訪れたことはあるが、聞いたことがない。

念のため、調べてみたが、そのような古墳はなかった。

 

現在われわれが存在している世界 「さいたまA」と同時に存在する並行世界 「さいたまB」って何だ?

並行世界とはパラレルワールドのことか?

 

この時代の日本に犀はいたのか?

調べてみたら、日本にもいたことが分かった。

しかし、数十万年前には絶滅しているので、この時代にはいなかったはずだ。

 

こんなユニークな、とぼけた顔した埴輪があったのか?

調べてみたら、似たようなのが東京国立博物館の館蔵品に「埴輪 踊る人々(はにわ おどるひとびと) 」があった。

埼玉県熊谷市の野原古墳で出土されたそうだ。

よく似ている。

東京国立博物館のホームページにこの埴輪についての説明があった。

踊る男女とも呼ばれる特徴的な人物埴輪である。双方とも下半分を推定復原しているが,小さい方の美豆良をつけ,腰紐の後ろに鎌をさしている方が男性で,おそらく農夫を表しているのであろう。大胆にデフォルメされた顔に,左手を挙げたポーズから剽軽に踊る人々を連想させるが,同じ古墳からは儀式に参列する人物を表したとみられる埴輪が多く出土しており,おそらく殯などの葬送の場における歌舞の姿を写したものともみられる。

これをモデルにしたのだろうか?

 

創作し、視覚化する歴史改変SF美術作品?

もう、間違いないだろう。

想像の世界のものだった。

説明板に書かれている文章を読めばすぐ気が付くことだったが、よく読まなかったので、まんまと騙された。

特に公共の施設にあるものだから、余計勘違いしてしまうかもしれない。

もしかしたら、今でも本物だと思っている人がいるかもしれない。

そのくらいリアリティがあった。